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[あらすじ]
友達の少ない裕子の携帯電話にかけたきた相手は、好きだった久保君からだった。久保君と会う約束をして、思い出の学校で再会することに。ちょっぴりホラーな短編です。 |
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携帯電話物語〜裕子の場合
最近買った携帯には、登録軒数は10件くらい。かかってくる電話は主に家族からで、メールも同じようなもの。私には携帯はそんなに必要なものでもないが、今時携帯を持たない女子高生がいるだろうか?だから意味もなく私も持っている。持っているだけ。
お気に入りの曲を着信音にしているけれど、嬉しくもなんともない。だってかかってくるのは家族からだから。そんなある日、登録していない番号からかかってきた。誰だろう。
「はい・・・。」
「あ、久しぶり。元気してた?」
「・・・あの、誰ですか?」
「あはは、俺のこと忘れてた?俺だよ、俺。」
その声を聞いても誰だかわからないし、俺って言う知り合いは沢山いる。その中から限定するのは不可能だ。
「あ、あの〜、俺、俺、じゃあわかんないんですけど。」
「裕子は相変わらずだな。そのオドオドした言い方。」
この人は私を知ってる。誰?
「裕子、小学校依頼だよね。・・・俺、久保だよ。」
「え!久保君?ホントに?」
久保と名乗るこの人物は、小学校の時、私が六年間も好きだった人で、告白したけれど振れれた相手だった。中学に上がる頃、彼は町から居なくなったのだ。その久保君からの電話で私はかなり驚いた。
「え〜どうして私の番号分かったの?」
「川原に教えてもらった。川原とは今も仲いいんだね。同じ学校?」
「うん。クラスは違うんだけどね。」
「そっかぁ懐かしいな。裕子の声、小学校の頃と全然変わってないのな。なんか嬉しいよ。」
「そう言う久保君は随分声が変わったね。男の人みたい。」
「あはは、そりゃねぇ声変わりしたしね。成長もしたしね。」
「でも、なんで私に電話してきたの?」
「・・・・会いたいなと思って。嫌?」
「嫌じゃないけど・・・ねぇ、今まで何処に居たの?誰も久保君の話しをしないから、どうしてるのか気になってたのよ。」
「・・・ん〜ん、電話じゃ話しにくいな。」
「聞いちゃまずかった?ごめん。」
「いや、いいよ。その話もするから、明日会おうか。小学校の校門のところで待ってるからさ、来てくんない?裕子、いっぱい忘れてることあるみたいだし、思い出語ろうよ。」
「他の子も誘う?同窓会みたいに。」
「俺は・・・裕子だけに会いたいんだ。ダメかな?」
「ううん、別にいいよ。」
私は嬉しかった。久保君が好きだった頃の気持ちが残っていて、その想いが残る相手からの誘い。ただ嬉しくて明日の約束した。
翌日の夕方、夕日は町の中に沈みかけていて、学校は建物だけが残されていうようだった。私は待ち合わせの時間より早く着いていた。お気に入りの着信音に、久保君からだと慌てて携帯をカバンから取り出して、
「もしもし、久保君?」
「ああ、俺。ちょっと遅れそうだからさ、先に学校ん中入っててくんない?赤屋根の校舎んとこに居てよ。」
「え〜、一人で入るの?そんなの泥棒みたいじゃない。」
「大丈夫だって。あの垣根のところから入れるよ。」
小学校のころ、誰もが抜け道にしていたところがあって、久保君はそこのことを言っていると分かった。
「直ぐに来てよ。」
「了解。」
私はあの頃より狭くなった垣根の隙間を潜り抜け、赤屋根の校舎の裏側に着いた。すると電話がなり、
「ごめん、もうちょい遅れる。先に、赤屋根校舎の横にさぁ卒業記念で作った記念碑があるだろ?そこんとこで待っててよ。」
「ええ〜。まだ来れないの?」
「ね、もう少しだから。」
私は久保君の言う通りにその記念碑の前で待った。待っている間に、その記念碑に刻まれた言葉に目をやった。
「懐かしいなぁ、これって未来の自分に送る言葉を彫刻刀で彫ったんだっけ。みんな不器用で、彫刻刀に苦戦して時間掛かったのよね。ケガした子も沢山いたし・・・ん?私何か忘れてるような・・・気のせいかな?」
「お待たせ。」
「きゃっ!・・・あ、久保君。」
「ごめん、脅かすつもりだったんだ。」
「ホントびっくりしたよ〜。」
久保君は昔の面影を残していたので、17歳の姿の久保君でも、私には誰だか分かった。
「これ、この記念碑、懐かしいだろ?覚えてる?」
「うん、今、思い出してたとこなの。」
「じゃあさ、完成間近のあの日の事故のことも?」
「事故?・・・なんのこと?」
「やっぱり裕子は忘れてるんだ。いや、記憶を消しちゃったんだね。」
私は久保君が何のことを話しているのかまったく分からなかった。久保君は話を続けた。
「裕子さぁ、彫刻刀でふざけてた男子から離れようとして立ち上がり、たまたま後ろにあったイスに躓いたんだよな。そして転んだ。彫刻刀を持ったまま。その時運悪く、裕子が転んだ先に、俺がしゃがんで文字を彫ってたんだよ。で、ここ、俺の頚動脈めがけて、裕子の彫刻刀がグサリ・・・病院に運ばれた俺は、12歳の人生に幕を閉じたんだ。」
え・・・何言ってるの?私が?・・・久保君が?
「話しても思い出せないみたいだね。あぁ、どのみち殺人事件扱いだとしても時効だしね、罪には問われないよ。けどね・・・・裕子、俺は是絶対に許さないから。覚悟してよね・・・」
不気味な笑みを浮かべた久保君の手には、キラリと光る彫刻刀が握られていた・・・・
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